ETN

ETNとは、「Exchange Traded Note」の略称で、「上場投資証券」または「指標連動証券」と呼ばれています。ETNは償還価額が株価指数や商品価格等の「特定の指標」に連動することを目的とする債券です。特定の指標に連動するという点でETFと類似していますが、発行体(金融機関)がその信用力をもとに「特定の指標」に連動することを保証する債券であるため、ETFとは異なり証券に対する裏づけ資産を持たないという特徴があります。ETNは金融商品取引所に上場されているので、通常の株式と同じように取引所の取引時間中はいつでもリアルタイムで売買できます。

ETNの特徴

ETNは、ETFと比較して主に以下のような特徴があります。

特徴 1 裏付けとなる資産を持たない

ETFは、例えば金保管型のETFの場合、対象指標と連動するために実際に現物の純金を裏付け資産としてファンドが保有していますが、ETNは発行体となる大手証券会社や銀行などの金融機関が対象指数との連動性を保証することとなるため、裏付けとなる現物資産は保有していません。

特徴 2 トラッキング・エラーが発生しない

ETFは運用会社が実際に現物資産を購入して運用するため、運用の結果次第ではETFの基準価格と対象指標との間にずれ(トラッキング・エラー)が生じる場合があります。しかし、ETNは発行会社が特定の指標に連動するよう保証するため、トラッキング・エラーは運用に掛かる手数料分を除き発生しません。そのため、対象指標の動きをよりリアルに捉えることができます。

お客さまが証券取引所を通じてETNの売買を行うときには、市場での需給バランス、呼値の刻み等の要因により、必ずしも特定指標と同じ価格で取引できるとは限りません。

特徴 3 ETFでは組成困難な指標でも投資対象にできる

法制上の関係や現物の保管の関係等で裏付け資産を保有することが難しい、言いかえるとETFでは組成が難しい、株式や希少金属などを投資対象とすることが可能です。
例えば、時間の経過とともに劣化する農産物、「ヘッジファンド指数」や「レアメタル価格」、通貨なら「人民元」などもETNを通じて投資対象とすることができます。

税金については、証券税制ページをご覧ください。

ETN 銘柄一覧(日本取引所グループ)

ETNの仕組み

証券取引所においては、ETNはJDR(Japanese Depositary Receipt)形式での上場となります。
ETNという新たな商品が上場するにあたり、本来であれば、さまざまな取引インフラ等の手当てが必要となるところですが、JDR形式を利用することで、国内株式同様に取引ができるといったメリットがあります。

RETN発行・取扱いの流れ
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三菱UFJ証券ホールディングスが発行するETNの場合

  1. 三菱UFJ証券ホールディングス(発行会社)がETN(指標連動証券)を海外で発行し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(委託者)が当該ETNを取得します。
  2. 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ信託銀行(受託者)にETNを信託します。
  3. 三菱UFJ信託銀行は、JDR(信託受益証券)を発行し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が取得します。
  4. 三菱UFJモルガン・スタンレー証券はJDRを東京証券取引所に供給します。
  5. 投資家は市場でJDR形式のETNを売買します。

JDRとは

JDRとは、「外国株券」や「外国ETF」、「ETN」等の外国有価証券を受託有価証券(信託財産)とする有価証券信託受益証券であり、「日本型預託証券」や「日本版預託証券」などと呼ばれています。
アメリカのADR(American Depositary Receipt)やヨーロッパのGDR(Global Depositary Receipt)と同様に、外国の株式やETF、そしてETN等を日本国内で円滑に流通させるために整備された枠組みです。
日本国内に流通するJDRは、ADRや外国ETF等の有価証券とは異なり、日本の信託法に基づき発行される「内国有価証券」に該当します。そのため、JDRの受益者は日本の信託法に基づく保護の対象となり、受託者は信託法上の規制に服することとなります。ただし、ETNを受託有価証券とするJDRへの投資は、その外国会社が発行するETNを直接取得した場合と同様のリスクを有します。JDR化することによって、受託者となる信託銀行等が信用の補完を行うものではありませんのでご留意ください。
また、内国有価証券であることから、通常の国内株式と同様の口座で取引が可能となります(外国証券取引口座では取扱いません)。

ETNの売買制度

ETNの売買は現物株式と同じように行うことができ、取引時間内であれば、いつでも、その時点の時価で取引きすることが可能です。具体的には以下のようなポイントを挙げることができます。

  • 「価格優先・時間優先」の原則が適用されます。
  • 指値注文や成行注文、また寄付条件付注文や引け条件付注文が可能です。
  • 呼値の刻みや制限値幅は株式に準拠します。
  • 各銘柄ごとに売買単位が決まっています。
  • 受渡は通常は3日目決済です。
  • ETNの本国市場の通貨に関わらず、取引は円貨建で行われます。
  • 代用有価証券としての差入れが可能です。
  • 保管振替機構における証券保管振替制度が利用できます。
  • 信用取引・貸借取引の対象です(但し、2023年6月30日現在、当社においては、制度信用取引は取扱っておりません)。

ETNのリスク

ETNへの投資にあたってご留意いただきたいリスクについてご説明します。

有価証券投資のリスクおよび手数料等について

有価証券投資にあたっては、さまざまなリスクがあるほか、手数料等の費用がかかる場合がありますのでご注意ください。

投資に係るリスクおよび手数料等