18年間負けなし!テスタ流「投資脳」の育て方(3) ジャンルや銘柄を分散して、自分だけのコレクションをつくろう

2023/3/31

フリーターから元手800万円で株式投資をスタートし、総利益50億円を突破したカリスマトレーダーのテスタ氏が、株式投資で勝ち続けるために必要な「投資脳」を育てる方法を4回に分けてわかりやすく解説します。第3回は、投資銘柄を分散してリスクを軽減することの大切さについて。

長期で資産形成をするなら、高配当狙い

株式投資は長期か短期か、また資金の性質によって、やり方も銘柄の選び方も異なってきます。まずは自分の生活スタイルを認識し、どういう時間軸で、どういう資金で投資をやりたいのかを見極めるといいでしょう。

普段から忙しく働いていて、そろそろ資産形成を始めたいという人は、おそらく数年から数十年の長いスパンで、空いた時間を使って投資と向き合うことになります。そうなると、短い期間で「切った、張った」を繰り返すというよりは、安定的に高い配当利回りを得る投資手法が適しています。

各銘柄の配当利回りは証券会社などの銘柄情報を見ればわかりますが、単純に数値が高い銘柄がいいというわけではありません。たまたま高い利回りの配当が出ていたとしても、今後それがずっと続くかどうかはわからないので、過去の動きや業績との関係も把握しておく必要があります。利益のうち、どのくらいを配当に回すかは、それぞれの企業の方針によって異なります。これを示すのが「配当性向」で、一定の参考になりますが、経営状況によって変化する可能性もあります。

米国株には、何十年も毎年増配を続けている企業がたくさんあり、長期保有しているだけで高い利回りが得られたりします。日本株にも連続増配企業は存在しますが、日本企業の配当の考え方は米国企業とは若干異なります。米国企業は債務超過でも配当を出すのが普通ですが、日本では「債務超過だと配当を出せない」という考え方が主流なので、経営が悪化すると配当に回すお金は減り、減配、無配となる場合もあります。

配当+株価上昇のWエンジンで資産倍増

ただ、だからといって日本の企業に投資するのがダメかというとそうでもなくて、配当に回さないお金は現金として会社に残り、会社の潜在的な価値は上がります。毎年現金が積み上がって内部留保として膨らみ、その分、企業価値は上がるので、株価上昇が期待できます。

たとえば、配当が年5%でも、年に5%株価が値上がりすれば、合計で年利回りは10%。そのダブルエンジンで回していけば、単利で単純計算しただけでも10年で2倍、20年で3倍…と増えていきます。さらに、元手600万円で始めても、配当を再投資する複利で回せば、ざっくり言って30年で約1億円まで増やすことができるのです(1年複利、税金は考慮せず)。もし働きながら老後に備えたいのなら、そういう投資をしていけばいいのではないでしょうか。

会社の価値が上がっていくかどうかは、財務諸表やPBR(株価純資産倍率)を見ればある程度わかります。理屈的には、配当性向が20%だと純利益の80%は現金として残り、積み上がっていきます。PBRは株価がBPS(1株当たり純資産)に対して何倍まで買われているかを算出したもので、その企業が解散したときにどのくらい売却できる資産があるか、価値(解散価値)があるかを示します。これが1倍を割って放置されている企業は解散価値が高く、株価の水準が訂正されやすいとされています。

もちろん何で資産を形成しているかによっても異なり、たとえば支店の土地など現金化できないものが多い場合は控えめに見る必要はありますが、この数値が低ければ低いほどお金が余っていることがわかり、配当に回す余地がある=増配しやすいことが推察されます。そういう企業を見つければ、株価上昇と配当の両方を狙うことができるでしょう。

生活必需品を扱う企業は長期投資向き

長期投資に向く銘柄としては、その企業に歴史があるかどうか、扱う品が生活に必要かどうかが判断材料になります。さらに競合他社が入る余地が小さければ、それだけ安定した業績が期待できます。

たとえば、歯ブラシは生活必需品で、誰もが必ず使うものです。長く製造・販売してきたメーカーにはそれまでの実績があり、大量生産により単価を抑えて販売できます。もし他社が新規参入しようとしても、同じクオリティのものをその値段では出せないでしょうし、ブランド力や販売網もないため、なかなか太刀打ちできないでしょう。そういう企業は長い目で見て、安定的な業績が見込めるため、長期投資に適した投資先といえます。

こうした条件を満たす銘柄を他業種にわたって10種類ほどそろえておけば、中には万が一の事態が起こる銘柄があるかもしれませんが、他の銘柄がカバーしてくれます。逆に大化けする銘柄が1つくらい出てくるかもしれません。

長期投資で大事なのは「分散」すること

長期投資を考える場合、大事なことは資金を集中させず、「分散」することです。長く運用するとなると、その間にもしかしたらその企業にとってダメージの大きい事件が起こるかもしれません。もしその1銘柄に集中していたら、取り返しがつかなくなります。

また、たとえ銘柄を分けていても、同じジャンルだとその業界に何かあったときに全部下がって、やはり全滅になってしまいます。長く持っていれば、いいときと悪いときがあります。銘柄やジャンルを分けることで、リスクをカバーしていくことが大事なのです。

私が、分散の大切さを改めて思い知らされたのは東京電力の一件です。その昔、東京電力をはじめとする電力株は、生活になくてはならない電力を扱うインフラ企業であり、新規参入が困難でつぶれる可能性が極めて低い、高配当の超安定銘柄として投資家にとても人気がありました。

しかし、2011年の東日本大震災の原発事故を機に、一時は国有化や上場廃止も取り沙汰されるなどして株価は低迷し、無配当になりました。もし東京電力に投資資金を一極集中していたら……?どれだけ安定していて、生活に密着していても、こんなことになってしまう危険性があるのです。

ですから、たとえ良い銘柄を見つけても、全力でそこに集中させるのではなく、二番手や三番手、また違うジャンルにも目を向けることが大切です。そうやって少しずつ広げていき、気に入った銘柄を一つずつ増やしてコレクションしていくのも、株式投資の楽しみといえるでしょう。

テスタ

テスタ

テスタ

フリーターだった2005年に株式投資をスタートし、専業トレーダーになる。ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどで相場が荒れる中でも着実に利益を重ね、10年後に10億円を突破するなど、「億り人」「カリスマ投資家」として注目を集める。2022年には総利益50億円超えを達成。ブログやツイッターなどで投資の手法や成果のほか、詐欺撲滅や社会貢献などについても発信している。

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