トレンド読解から予測まで チャート活用ガイド

Chapter 3 トレンドを予測する

株式の売買の基本は、安い時に買い、高い時に売ることです。しかし、シグナルが出た後で行動を起こすのでは、ベストな売買タイミングからは遅れてしまうことも。
そこでこの章では、株価の上げ止まり、下げ止まりを予測するための考え方をご紹介します。

支持線・抵抗線

支持線 抵抗線 イメージ

トレンドの予測のために押さえておきたいのが「支持線」「抵抗線」の考え方です。
「支持線」とは、株価がそれ以下にならないよう、下値を支えるように働くラインのことです。逆に「抵抗線」とは、株価がそれ以上上がらないよう、上値を抑えるように働くラインのことです。上昇トレンド、下落トレンドの最中にある「支持線」「抵抗線」は、一般に「トレンドライン」と呼ばれています。
支持線・抵抗線にはさまざまな種類があり、チャート上に描かれた目に見える線から、投資家が独自に意識している、目に見えない線まで、多岐にわたっています。

実際のチャートから支持線・抵抗線を理解する

価格帯別売買高

まず、「価格帯別売買高」をご紹介します。価格帯別売買高は、一定期間の価格帯ごとの売買高の分布を、横棒のグラフに示したものです。表示期間における最大値は通常、色違いで表示されますので、売買の多かったポイントがひと目でわかります。

下図のチャートをご覧ください。多くの売買があったこの価格帯では、購入した投資家も多くいるはずです。その後、株価は下がっていますので、先ほどのポイントで購入した投資家は含み損を抱えていることになります。
このような時、多くの投資家はどのような心境でしょうか。「購入価格まで値が戻り、損が無くなったら、一刻も早く売ってしまいたい」と思うのではないでしょうか。
この銘柄ではその後、先ほどの価格帯まで株価が戻りました。買い値まで戻るのを待っていた投資家の中には、この価格帯で売却した方も多くいたかもしれません。

価格帯別売買高 イメージ

売りが多く出ると、株価には上昇を抑える圧力が働きます。これを「抵抗帯」と呼びます。
実際にこの銘柄では、売買の多かった価格帯まで値を戻した後、再び下落しています。このように、売買高の多い価格帯は、投資家に相場の節目として意識され、株価の上昇を抑える「心理的抵抗帯」になることが多いといわれています。

抵抗帯・心理的抵抗帯 イメージ

一目均衡表の「雲」

次は、チャート上で目に見える「抵抗線」を見てみましょう。Chapter2でご紹介した「一目均衡表」の「雲」と呼ばれる部分を使ってご説明します。

一目均衡表を構成する5本の線のうち先行スパン1、先行スパン2で挟まれた部分を「雲」、または「抵抗帯」と呼びます。先行スパン1、先行スパン2は、それぞれ下記の方法で算出され、先行スパン1は中期的な株価のトレンドを、先行スパン2は長期的な株価のトレンドを表すといわれています。
一般的に、雲は、株価より下にあれば下値支持帯、株価より上にあれば上値抵抗帯として機能するといわれています。また、雲が厚いほど、その抵抗力は強いとされています。

一目均衡表の「雲」イメージ

先行スパン1=
転換線と基準線の平均値を26日先にスライドさせたもの

先行スパン2=
過去52日間の高値と安値の平均値を26日先にスライドさせたもの

下図Aのチャートを見てみると、ローソクの下に雲があるため、株価が下がっても、雲の所で跳ね返っています。これは、雲が下値支持帯として、株価を支えているからです。
また、下図Bのように株価がいったん厚い雲の中に入ると、雲の近辺で、株価は揉み合うことが多いといわれています。

雲を使った支持帯・抵抗帯の考え方は、見た目にもわかりやすいことから、多くの投資家が参考にしているようです。

一目均衡表の「雲」イメージ
一目均衡表の「雲」イメージ

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