MUMSS ESG Stories

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社員が講師を務める
中学・高校生向け金融経済教室
それは、「自分らしく活躍できる力を養う」授業

2023年11月30日

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三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)は、2014年度から、社員が講師を務める中学・高校生向けの金融経済教育「教室で体験するインターンシッププログラム『株の力』」を提供してきました。 特に2022年度からは、「次世代」を重要なステークホルダーと位置付け、当社の理念に共感いただける複数の自治体や学校と連携協定を締結するなど、金融経済教育の取り組みを強化しています。 今回は、初回の2014年度から当社の金融経済プログラムの1つである『株の力』を導入している私立豊島岡女子学園 中学校・高等学校(東京都豊島区)を訪ね、 教務部長の十九浦理孝教諭に、導入したねらいなどについてお話を伺いました。

『株の力』に参加した生徒は、視野が広がり、
深く突っ込んで考えるようになる

——貴校は、どのような考え方から『株の力』プログラムを導入したのでしょうか。

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本校が特に育成したいと考えている資質・能力の一つに「他者と協働する力=協働力」があります。MUMSSの『株の力』プログラムは、その「協働」について学び、 「協働」の視点を持つ上で非常に優れた内容になっており、ぜひ採り入れたいと考えました。
株とは、自分たちの理念やアイデアに共感してもらい、事業を興して社会を変えていこうとする起業家と、共感できるプランや事業を見つけ、 その支援を通じて社会が変わっていくのを見届けようとする投資家を媒介し、協働を生み出すものだと捉えています。こうした株の仕組みは、 「他者と協働する」ことへの理解を深めるたいへん良い材料になると考えています。
そして、『株の力』プログラムは、単に株の仕組みを学ぶのではなく、起業家と投資家、社会、の複数の視点から学ぶようになっている点が特に素晴らしいと思います。

——『株の力』プログラムは、参加した生徒たちにどのような影響を与えていますか。

社会科の教員を中心に『株の力』プログラムの最も効果的な活用を検討し、現在は、中学生を対象にした課外活動として、希望する生徒が参加しています。 中学3年の「公民」で経済について学習しますので、その導入という意味合いもあります。
参加した生徒の満足度は非常に高く、中には、プログラム終了後「株を始めたいと思ったのですが、どうすればいいのでしょうか」と講師に質問した生徒がいました。 『株の力』プログラムには、普段の座学では得られない、生徒を刺激するような何かがあるようです。それは、第一線で活躍する社員の方が講師を務めてくださっていることが大きいのではないでしょうか。
私たち教員は、「『株の力』プログラムに参加した生徒は視野が広がったな」という感触を強く感じています。 現代の中学生は新聞やインターネットを通じてたくさんの知識は持っていても、その理解は表面的なものにとどまり、世間で起こっていることや社会の構造といった現実の世界のことはまだまだ分かっていません。 しかし、『株の力』プログラムに参加した生徒は、考え方がまったく変わってきます。視野を広げ、深く突っ込んで考えるようになります。それは、株の話、金融の話に限ったことではありません。
やはり、教科の学習だけをしている生徒と、『株の力』のような課外のプログラムに積極的に参加する生徒では、人間的な奥行き感が全然違ってくるという印象です。

教員が教えるのと、学外の専門家が教えるのでは、
授業の深みがまったく違う

——貴校は、2023年2月、MUMSSと金融経済教育に係る連携協定(以下、連携協定)を締結しました。連携協定を結んだねらいや、今後、MUMSSに期待していることについてお聞かせください。

本校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されて2023年度で6年目になりますが、サイエンスの領域に関して複数の大学や研究機関と連携協定を締結し、 さまざまな支援やアドバイスをいただき、生徒の「課題探究」のレベルアップを図ってきました。
こうした学外の専門性を取り込んでいく施策をサイエンス以外の領域にも広げていくべきだと考え、『株の力』プログラムを通じて信頼関係を構築してきたMUMSSと連携協定を結びました。 本校では高校2年から理系と文系に分かれますが、文系を選択した生徒の中には、グローバルな経済・金融について学びを深めたいと考えている生徒もいます。そうした生徒たちにどういったアドバイスをすれば良いか、専門家の皆さんのお力をお借りしたいと考えました。
もう一点、2023年度から高校の家庭科で金融教育が義務化されたことへの対応という側面もあります。金融教育の中で株や投資について生徒たちが学ぶ際、 私たち教員が教える側面と、学外の専門家が教える側面は異なります。専門家からの刺激は、日常の教育の中では得られづらい気付きを与えることが多く、視野を広げるだけでなく, 視座を高めることにもつながっています。
連携協定を結ぶことで、これまでの『株の力』プログラムに限られていた協力関係を拡大し、より幅広く本校の教育を支援していただけるのではないかと考えています。

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現役の証券会社の社員の方が出向いてくださる、助言をしてくださるというのは、本校にとってたいへん貴重な機会になっています。 その貴重な機会を十分に生かしていくためにも、本校は表面的・形式的な連携ではなく、内実を伴った実効的な連携関係が構築されることを望んでいます。
そうした希望を込め、本校からさまざまなお願いをしています。例えば、金融教育の義務化を踏まえ、高校1年の春の段階で集中実習を行っていただけないかというお願いをし、 検討いただいているところです。『株の力』プログラムにこれまでになかった要素を掛け合わせることで、新しい学びの価値を生み出せるのではないかと考えています。
MUMSSには本校の提案を真剣に受け止めていただき、具体的な話し合いが始まっています。進化した『株の力』プログラムがどういったものになるか、大きな期待を寄せています。

お金があるかないかで自分の可能性を狭めてほしくない
そのために、金融経済教育がある

——貴校は、かねてから金融経済教育に力を入れていらっしゃいます。生徒たちが金融を学ぶことの意味を、どのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

長い人生の中で、まとまったお金が必要となる局面は必ずあります。大学に進学したい、海外に留学したい、もっと研究を続けていきたい。そうした局面に立ったとき、 お金があるかないかで自分の可能性を狭めてほしくないという思いが、強くあります。
お金のことが足かせになって挑戦をあきらめるようなことになってほしくない。だから、「自分の夢をかなえるためのお金を得る」ことはとても大事なアクションなのだということを、 しっかり学んでほしいと思っています。そこに、中学生、高校生が金融・経済を学ぶ大きな意味があるのではないでしょうか。まさに、自分自身のための学び、なのです。
生徒たちには、『株の力』プログラムも含め金融経済教育の中で学んだことを、自分らしく活躍できる力に変え、自分自身に「実装」してほしいと願っています。 そのためにも、金融経済教育をより魅力的で、より実践的なものにしていく努力をしていかなければなりません。MUMSSの協力を、これからもお願いしたいと考えています。

【学校情報】
豊島岡女子学園中学校・高等学校
1892(明治25)年、創立。時代を超えて変わらない「道義実践」「勤勉努力」「一能専念」という3つの教育方針に掲げ、「志力を持って未来を創る女性」の育成をスクール・ミッションとする、 私立の中高一貫校。科学的思考力を持ち、課題解決できる人を育てるための、さまざまな探究プログラムがあることも大きな特色となっている。


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MUMSS講師経験者より:新宿支店
立花 直迪
起業家、投資家、社会という3つの視点から考えることは
生徒たちにとって貴重な学びの機会になるはず

当社の行っている金融経済教育に、以前から関心を持っていました。今の時代、中学や高校で金融についての基本的な知識を学ぶことは必要なことだと思いますし、 金融経済教育をとり入れようとする学校の熱意も素晴らしいと思います。
講師を務める社員は学校に伺う前、『株の力』プログラムの狙いや流れ、具体的な授業の進め方についてのレクチャーを受けます。その上で入念に準備をして、実際の授業に臨んでいます。
授業では、まず導入として身近な事例を取り上げ、クイズやゲームを活用しながら株の仕組み・機能について考えてもらいます。 私は「Facebook」の創業者、マーク・ザッカーバーグ氏を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』を取り上げました。身近なSNSであれば生徒たちもイメージもしやすいでしょうし、「もっと知りたい」と思ったとき配信で映画を見ることもできますから、導入の素材に適していると考えました。SNSをビジネスとして捉え、その事業が立ち上げっていく過程を追っていく授業は、新鮮で興味深い内容になったと思います。
その後、『株の力』プログラムは、出資を募る起業家、出資先を探す投資家、社会全体という3つの視点から、株について考えていきます。 生徒たちは私が思っていた以上に積極的で、証券会社の仕事など、たくさんの質問を受けました。プログラムの最後には、4人が1チームになって株の力を伝える新聞広告を作り、プレゼンテーションを行います。優秀チームは当社の本社において、当社社長をはじめとする役員の前でプレゼンテーションを行うのですが、私が授業を行った学校のチームのプレゼンテーションの際は、ハラハラ、ドキドキ、自分の子どもの発表を見守るような気分になりました。
先生方からは、生徒が普段接することのない金融業界のことを学べただけでなく、ビジネスパーソンに向けてプレゼンテーションするという 非常に貴重な機会になったということで、好評をいただいています。
講師を務めたことは、私自身にとっても初心に帰る良い機会でした。株はどういう働きをするものなのか、自分はどういう志を持って証券会社に入ったのか、 そうしたことを見つめ直しながら新たな気持ちで業務に取り組めるようになったと思います。
当社はさまざまな社会貢献活動を行っていますが、次世代に向けた金融経済教育は「より良い明日をつくるための取り組み」として、とても意味あるものです。 実際に生徒の反応を見ていると、それを実感することができました。この『株の力』プログラムがもっともっと広がっていくことを願っていますし、機会があれば、また講師を務めたいと思っています。