MUMSS ESG Stories

ESG関連ビジネスにおいて、
お客さまから1st Callをいただくために

2023年10月16日

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Environment(環境)、Social(社会)に配慮し、適切なGovernance(ガバナンス)がなされている会社への「ESG投資」を重視する潮流が、世界のスタンダードになりつつあります。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)には、「ESG投資」が叫ばれる以前の1990年代から社会課題に根ざしたビジネスを扱ってきた歴史があり、ESG関連ビジネスについて大きな強みを持っています。
私たちは、ESG関連ビジネスにおいてお客さまから1st Callをいただける存在となることを目指しています。

未来への投資で社会課題解決を後押しすることが、金融の社会的使命

持続可能な社会の実現に向けて、「金融」はどのような役割を担っているのでしょうか。

持続可能な社会を考えるとき、「環境」は非常に重要な課題です。
2023年7月は世界的に「観測史上最も暑い月」となり、日本も6~8月の平均気温が過去最高を記録しました。それだけでなく、極端な気象によって災害が頻発し、誰もが「気候がおかしくなっている。このままではいけない」と実感しているのではないでしょうか。
その中で、今、温室効果ガスを削減しようと、さまざまな新技術が開発されています。それら新技術を事業化し成長させていくには大量の資金が必要になりますが、その資金調達をサポートすることは「金融」の重要な役割の一つです。いくら素晴らしい技術であっても、社会で実際に使われなければ意味がありません。
例えば、EV(電気自動車)という新技術は相当程度に事業化されていますが、今後EVが本格的に普及していくためには、充電ステーションをもっともっと増やしていく必要があります。あるいは、電力供給における脱炭素を進めていくには、多様な再生可能エネルギーの発電設備を増やしていかなければなりません。
既存の技術を脱炭素の新技術に置き換え、持続可能な社会に変革していくためには、莫大な投資が必要です。未来に向けた“前向きな投資”を促進し、新しい技術を後押ししていくことが、金融の大きな役割だと考えています。
それは、環境分野だけにとどまるものではありません。ESGやSDGsは、環境のほか、貧困や教育、健康、ダイバーシティなど多様な社会課題の解決を目指すもので、それらの諸課題についても、必要とするところにしっかりと資金が回るように後押ししていくことは金融機関の使命です。

グリーンボンド創成期から先駆的にESGに取り組んできた実績

これまで、MUMSSは「ESG」にどのように取り組んできたのでしょうか。

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ESGという用語が生まれたのは、2006年に、国連が責任投資原則(PRI)を投資の意思決定に組み込むように提唱したことが契機ですが、実は私たちはESGという用語が誕生する以前からESGの考え方を採り入れて業務を展開していました。
2001年、当社の前身の一つである東京三菱証券が「今後、環境分野における金融のニーズは必ず拡大していく」と考え、クリーン・エネルギー・ファイナンス委員会を立ち上げました。温暖化ガスの削減目標を盛り込んだ「京都議定書」が1997年に採択されたことを受け、排出権ビジネスが始まろうとしている時期です。

クリーン・エネルギー・ファイナンス委員会は、「先進国が途上国で温暖化ガス削減につながる事業を行えば、削減した分の排出権を獲得できる」というクリーン開発メカニズム(CDM)の事業化を、他の国内金融機関に先駆けて積極的に手掛けていました。
その後、ESGの中でも特に環境分野に対する投資への関心が世界的に高まっていき、2007年、まずヨーロッパでグリーンボンドの発行が始まります。日本では、2014年に日本政策投資銀行が初めてグリーンボンドを発行し、その2年後の2016年、三菱UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)もグリーンボンドを発行しました。

このMUFGのグリーンボンド発行を当社グループとモルガン・スタンレーで支援しました。その後、私自身もMUFG財務企画部でMUFGの資本性資金調達を担当することになったのですが、グリーンボンドの発行体として海外の投資家の方々から、グリーンの背景資産や計測方法についてのルールメイキングについて非常に細かく質問され、関心の高さを目の当たりにしました。
当時、国内でのグリーンボンド発行はまだ10件にも満たず、ヨーロッパが先行し、その後をアメリカが追いかけ、アジアはこれからという状況でした。欧米の投資家のESGに対する高い関心と厳しい投資判断に触れたことは、当時国内業務では体得することのできないものであり、私自身にとっても、非常に有意義な機会となりました。

発行体であるMUFGにとっては、グリーンボンド発行のノウハウを蓄積するというだけでなく、いち早くESG債の発行に取り組んだことによって責任ある金融機関としての姿勢を内外に強くアピールすることができたのではないかと思います。
現在、ESG債は、グリーンだけでなくソーシャル、サステナビリティなど多様化し、発行額も圧倒的に拡大しています。MUFGが初めて手掛けた2016年に比べて、投資家のESGに対する関心はますます高まっています。そして、この流れは、今後強まることはあっても、弱まることはないでしょう。その中で当社は、ESG債のパイオニアとして、これからもお客さまの期待に応えていかなければならいと考えています。

お客さまから「ESGといえばMUMSS」と思っていただくために

これから「ESG」を推進していくに当たり、どのような方針を掲げているのでしょうか。

今、私たちは「ESGといえばMUMSS」と皆さまから思っていただけるように、さまざまな施策を進めています。「ESGのことについて知りたい」「ESGについて相談したい」というとき、お客さまが最初に思い浮かべる存在でありたいと考えています。
そのために大事なことは、お客さまに証券会社としての機能をしっかりとご提供し、「良い提案をもらった」「頼りになるアドバイスだった」と実感していただくことだと思っています。その積み重ねがあって、お客さまが「ESGのこともMUMSSに相談してみよう」と考えてくださるのだと思います。

もう一つ、お客さまとの接点となり、実際に業務を担っていく社員一人ひとりのプロ度の向上にも注力しています。「『ESGといえばMUMSS』と言われるようになりたい」という意識を社員に持ってもらい、ESGに対する専門性を上げていく取り組みを進めているところです。

「ESG」において、MUMSSはどのような強みを持っていると考えていますか。

社会がサステナビリティをより重要視するようになる中、ESGに対するお客さまのニーズは多様化しています。そのニーズに応えていくため、私たちは、レベルの高い提案、ソリューションを、いち早くご提供していかなければならないと考えています。
このとき、私たちの大きな強みとなるのが、MUFGの一員であるという点です。当社は、MUFGのグループとしての総合力、グループが持つグローバルネットワークを生かし、ESGのあらゆるフェーズにおけるソリューションを提供することができます。
また、当社は、MUFGとモルガン・スタンレーとのジョイントベンチャーであり、モルガン・スタンレーが蓄積したグローバルな知見も、お客さまへの提案に生かしています。ESG投資、サステナブル・ファイナンスに関して、先行するヨーロッパやアメリカの動向をいち早くキャッチし、そのノウハウを取り込むことができるのは当社が持つアドバンテージだと思っています。そのネットワークを通じてお客さまに価値ある情報の提供をきめ細かく行っていきます。

そして何より、先ほどお話ししたように、当社には20年以上も前からESGを開拓してきた実績があります。その経験が私たちの組織のDNAに記憶され、新しいプロダクトを創り出すカルチャーとなって受け継がれています。

社員ひとりひとりが、真にESGを自分ごと化できている集団へ

「社員一人ひとりのプロ度の向上」とは、どういうことなのでしょうか。

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いくら経営トップが号令を掛け、組織体制を組んで旗振りしたとしても、それがお客さまにしっかりお届けできなければ何の意味もありません。「ESGといえばMUMSSだよね」とお客さまに思っていただけるようになるには、社員のエンゲージメントが不可欠だと考えています。
お客さまと直接お会いするセクションはもちろん、そうでないセクションの社員も含め、皆がESGに対する理解を深め専門性を高めていくことが、お客さま、マーケットからの信頼を得ることにつながるのではないでしょうか。そして、社員一人ひとりがESGを〝自分ごと化〟し、社会課題に対する感度を高めていくことは、会社自体のサステナビリティ向上にも資することだと思っています。
そうした課題意識から、具体的には、社員のESGに関する資格取得の奨励、若手社員が社長へ直接提言を行うプロジェクトなどを行っています。

社員の意識を変えていくのは難しい課題ですが、ESGに触れて考え実践する機会、社員が主体的に参加する機会を増やし、徐々にその効果が出てきていると思います。
当社は5項目の「行動指針」を定めていますが、その5項目すべてが「プロとして」から始まります。証券会社の社員として、プロとしてお客さまに対峙し、プロとして何ができるかを考え、プロとして何をやってはいけないかを謳っています。
そのプロフェッショナルとしての精神はESGの取り組みにも生かされていて、当社にはESGのプロが数多く育っています。「ESGといえば、プロがいるMUMSS」「プロがいるから、ESGはMUMSS」とお客さまから信頼していただけるよう、これからも全力を尽くしてまいります。

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山本 慎二郎

取締役 常務執行役員
チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSuO)