現在、クオンツとして、デリバティブ商品の時価評価に用いる数理モデルの開発を軸に、市場動向の予測や分析を通してトレーディングを支援する業務を担っています。大学院時代は物理学を専攻していました。研究で身につけた数学的思考力を使い、金融という全く異なる世界を見たら、どのような景色が見えるのだろう。そんな思いでMUMSSの門を叩きました。金融工学の世界は想像以上に奥が深く、大学院で研究した美しい理論や数式だけで成り立つ世界ではもちろんありません。しかし、明確で完璧な答えがない世界だからこそ、物理の研究とはまた違った魅力があります。刻々と変化する市場に翻弄されながらも、そのダイナミズムに魅了され、日々クオンツとして奮闘しています。
2021年、金利指標LIBORの恒久的な公表停止が発表され、業界はそれに備えた対策を講じる必要がありました。当時、私は入社2年目。LIBOR停止後、代わりに参照する指標金利を考慮して時価評価を行う「フォールバック対応」を担当することになりました。意識したことは、急な市場の変化に対応し、必要な試算や分析を即座に提供すること。現在の市場が何を織り込んでいるのか、トレーダーやリスク管理、IT部門など各分野のスペシャリストの方々と毎日のように議論を重ね、一分一秒を争いながら、クオンツとして定量的な分析を行いました。大きなトラブルもなく、無事にLIBORの公表停止を迎え、トレーダーの方から「タイムリーな分析や、的確な意見のおかげで助かりました」とお礼の言葉をかけてもらった際は、クオンツとして確かなやりがいを感じたと同時に、数理モデルを駆使してビジネスに貢献するスペシャリストとして、他の専門家とは異なる視点やアプローチで取組むことの重要性を再認識しました。
クオンツサイエンス課には様々な専攻の社員が集まっており、各人がそれぞれのバックグラウンドを活かしながら、クオンツとしての専門性を高めています。また、トレーディング部門や市場商品開発部門とは頻繁に勉強会を開催し、相互の知識を深めることに余念がありません。個性が尊重され、他者を認め、互いに高め合う。そういった人間関係や雰囲気が社内には浸透しています。プログラミングなどのITスキルや金融工学の知識は入社後の研修やOJTを通じて習得できるので、入社時に必要なのは、飽く無き知的好奇心だと思います。社会に大きな影響を与える金融という業界に身を置き、自らの知的好奇心を追求したい人にとって、クオンツという仕事は天職となる可能性があると感じています。最近では金融工学とデータサイエンスが融合する流れもあり、クオンツの活躍の場は今後益々拡大していくと確信しています。
私たち(クオンツ)の業務は、デリバティブの時価評価モデルの研究開発です。数理モデルに係る専門的な観点から、事業環境や市場環境の変化に柔軟に対応できるように市場ビジネスを支えることが、私たちの使命です。